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毎日、夫に殴られても妻は黙って従え?

 

毎日、夫に殴られても妻は黙って夫に従え?

 

書物短評 :  ジョセフ・ナイ  「なぜ政府は信頼されないのか」   英治出版

 

 アメリカ・オバマ政権の駐日大使としても呼び声の高かったジョセフ・ナイ。そして現在、オバマ政権の外交ブレーンであり、とりわけ対日戦略の総責任者・重鎮となっているナイの世界戦略を描き出した書物が本書である。

 

 

本書の目的は一貫している。1995年4月19日、アメリカのオクラホマシティ連邦ビルがテロによって爆破されるという事件が発生した。

この事件を受けて、アメリカ国家を代表する軍事戦略家のジョセフ・ナイが中心となり、なぜ反政府テロが起こるのか、テロを抑止し・抑圧するには、どのような戦略が必要であるの か、本書は、その「テロ対策」について10年以上前の1997年から練り上げられてきた、世界各地に偏在する「反アメリカ勢力」の鎮圧作戦文書である。

 

ナイは明言している。近い将来、真珠湾攻撃に続く、外国勢力によるアメリカ本土への軍事攻撃・テロが起こる。その時、「反アメリカ勢力に対する軍事鎮圧が可能になり、必要となる」。

 

9.11テロは2001年に起こる。本書の執筆は1997年以前である。

ナイは、9.11テロという外国勢力によるアメリカ本土攻撃がある事を、「なぜか本書で予言している」。行間を読めば、9.11テロが、アメリカによる「軍事的世界制圧には、どうしても必要であり、超戒厳令国家の創立には、何が何でも、9 .11テロが起こらなくてはならない」と言う事である。

さらに敷衍すれば、本書と、その後続となる「超強権国家アメリカ」の創出プランの実行のためには、9.11テロは、アメリカ政府の自作自演によって、「どうしても起こらなければならない」事になる。

 

例えてみれば、東京・新宿のスタジオ・アルタ前で、バナナの皮に滑り転倒し後頭部から出血した場合の対策について数百ページの対策文書を「わざわざ」作成しておいて、その後、アルタ前で本当にバナナの皮に滑り転倒し後頭部から出血した場合、それは「偶然、予測が的中した」事になるのであろうか?

あるいは、その 対策文書の実行のために「意図的に転倒して見せた」のであろうか?

 

誰が考えても、答えは後者である。

 

本書の存在こそ、9.11テロが、アメリカ政府自身による「自作自演」であった事の強い傍証となる。

 

 本書では、こうした反政府テロを起こす人間達が、都市住民、高学歴、若者に多い事を論証し、テロの原因が経済・貧困問題ではない事が論じられている。

 

そして、黒人に人権を与えたために、豊かな白人の資産が税金として吸い上げられ、貧しい黒人のための福祉に使用されるという「社会的不平等、黒人による白人からの収奪が起こった」と論じられている。富裕層が支払った税金で貧困層への社会福祉が行われる事は、富裕層の社会的義務・責任ではなく、「黒人が白人から 財産を奪っている」と論じられている。

 

さらに、女性に社会進出のチャンスと自由を与えたために、平然と離婚をする「不平不満分子」が出現したと論じられている。

 

アルコール中毒・麻薬中毒によって毎日のように妻を殴る夫に「従順に」我慢をし、離婚をしない事が正当であり、離婚する事は「社会的混乱=家庭崩壊の原因となる不平不満分子」の出現を意味し、一生懸命働いても年収100万円以下の貧困層が、最低限の生活と子供の教育費を求めて社会福祉を利用する事を「ワガママ から、富裕層の財産を狙う不平不満分子の出現である」と論じられている。

 

「女性は女性らしく暴力を振るう男性に従順であり、黒人は黒人らしく貧困を甘受するよう」、それぞれの「独自文化」を再教育する、そうした思想教育・イデオロギー政策によって「国家・社会への忠誠心を取り戻す=社会再統合の政策」が必要があり、それが不満分子の事前鎮圧=テロ対策であると、対日支配・戦略家ジ ョセフ・ナイは考えている。

本書は、社会学研究らしく抽象的で「持って回った」表現方法を用い、もっともらしい統計数字を並べ、学術論文のデコレーションを行っているが、直接話法で結論を要約すれば、以上のような主張を平然と行っている。

 

この対日戦略家・ナイの思想の本質には、女性・貧困層といった社会的弱者に対する「凶暴な憎悪」が潜んでいる。

 

本書では、オクラホマシティ連邦ビル爆破のような事件に対しては、警察・軍隊を投入した武力鎮圧に「加え」、こうした「社会再統合」の思想教育が必要、とされている。

 

具体的には、貧困層への社会福祉を貧困層自身が「無料で仕事を行う」NPOと、政府機関が協力する第三セクター方式で行うべきであるとしている。

「貧困層、黒人達は自分で自分を救う、自助努力をせよ」、「自分達で社会福祉を担う事によって、社会福祉を施す側である政府と富裕白人層様達が、いかに苦労しているか身を持って味わい、政府と白人様に感謝と畏敬の念を持ち、今後は反抗心を持たぬ従順さを身に付けさせよ」。これが第三セクター方式を導入する「本音」で ある。

 

この第三セクター方式は、2009年、ジョセフ・ナイを社会政策ブレーンとしているオバマ政権によって本格的に導入され始めている。そして上記の、武力鎮圧と社会福祉の組み合わせ=ハードパワーとソフトパワーの組み合わせこそ、オバマ政権の採用する「スマート・パワー戦略」の内容となっている。

アフガニスタン に増派され続けている米軍が、武装した兵士と社会福祉を担当するNPOのメンバーの組み合わせによって「軍事行動を展開している」点に、10年以上前の本書の主張が明確に「生かされている」。

 

アメリカ国内では、オバマ政権の下、この警察力と社会福祉を組み合わせた「市民鎮圧戦略=スマート・パワー戦略」は、9.11テロに端を発し、アメリカ国内の超治安維持・管理国家体制を実行する目的で創設された国土安全保障省によって担われている。

オバマ大統領が、この国土安全保障省の長官として任命したのが 、95年の、オクラホマシティ連邦ビル爆破の犯人検挙の総責任者であった当時の連邦検事ジャネット・ナポリターノである。

 

オクラホマシティ連邦ビル爆破事件に端を発し形成された本書の、「治安対策プラン」が、オバマ政権の社会政策の基本書となっている事実が、こうした「人事」に明確に現れている。

 

名前の示す通りイタリア系であるナポリターノ国土安全保障省長官は、イタリア・マフィア業界の情報に通じ、アメリカの地下・マフィア社会の力を借り、社会の隅々にまで、その「情報収集と監視の触手を伸ばしている」。

イタリア・マフィアとの連携はCIAの、「お家芸」でもある。そしてホワイトハウス内部で、この 国土安全保障省と連携する国家安全保障担当大統領補佐官となったジェイムズ・ジョーンズは、まさにオバマ政権が軍事力を総展開し始めているアフガニスタン問題の専門家である。

ジョーンズは、前ブッシュ政権では中東問題の特使、イラク戦争の現場担当者として失政に失政を重ねた「戦争専門屋」である。

1974年5月、ア メリカ海軍・第三海兵師団中隊長・指揮官として沖縄に駐留していた当時のジェイムズ・ジョーンズは、英語に意図的にフランス語を混ぜて話す、キザで嫌味な軍人であった。この男は、ブレント・スコウクロフトの直系=孫弟子である(注1)。

 

前ブッシュ政権で、イラク戦争を実行した指揮官が、オバマ政権で、アフガニスタン戦争を指揮している。オバマ大統領が「口先だけの、チェンジを宣伝する、デマ扇動家である」正体が、ここにも明確に現れている。

 

 なお、国土安全保障省による市民監視の軍事行動は軍・警察だけではなく、アメリカ国内の傭兵会社=民間安全保障ビジネス企業が、その多くを担っている。

オバマ大統領が、その「ビジネスを多数、発注している」企業が、シビタス・グループ(Civitas Group)である。このシビタス社は、オバマ政権の北朝鮮政策を事実上決定している民間コンサルティング企業オルブライト・グループによって、具体的には、その子会社であるヘッジファンド企業オルブライト・キャピタル・マネジメントによって経営されている。

このハイリスク・ハイリターンを狙うギャンブル・投機会社は、 リスクを冒し北朝鮮のウラン取引に手を染め、リスクを冒し、アフガニスタンの天然ガス開発、アヘン取引に手を染めている(注2)。

 

このヘッジファンド会社の、ギャンブル投機のポートフォリオとして、オバマ政権の北朝鮮政策、アフガニスタン政策が「展開されている」。

 

 

 

*注1・・・ブレント・スコウクロフトについては、記事1を参照。

 

 

*注2・・・オルブライト・グループについては、メールマガジン版オルタナティブ通信・第1号の記事、「ワシントンで暗躍する北朝鮮ビジネスマン」参照。

 

 

by AL