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1988年、人類は滅亡すると述べた人達が今も評論家として活動している

 

1988年、人類は滅亡するとデマを述べた人達が今も評論家として活動している

 

書物短評  :  アーサー・ケストラー  翻訳・宇野正美 「ユダヤ人とは誰か 第十三支族・カザール王国の謎」 三交社

 

 アウシュビッツの強制収容所等で犠牲となった、多くの東欧ユダヤ人達は、本来のユダヤ人ではなく、7C~10Cにかけ、現在のロシアのダゲスタンの地を発祥として起こったハザール(または、カザール)帝国・民族が、ユダヤ教に偽装改宗し、このニセ・ユダヤ人が、現在世界中で悪行をなすユダヤ人であるとする、 「ユダヤ陰謀説」の1大理論の経典が、本書である。

 

 

本書の訳者・宇野正美は、日本における、こうした「ユダヤ陰謀論」の元祖的存在である。同時に宇野は、「日本人を始めとした有色人種は人種的に劣っているので、核戦争によって絶滅すべきである」と強硬に主張するキリスト教原理主義教会の宣教師である。

 

アウシュビッツのような人種差別による大量虐殺を「正当化」するためには、「どうしてもユダヤ人は、悪の権化でなくてなならない」。しかし、キリスト教原理主義教会に、金持ちのユダヤ人は多額の寄付金を与えてくれるので、金持ちのユダヤ人を罵倒する事は出来ない、そこで、悪いユダヤ人=改宗ニセ・ユダヤ人と、 良いユダヤ人=本物のユダヤ人を2分しなければならない。そこで、ハザール帝国が「必要」となる。必要は発明の母である。

 

「全ての悪行は、ユダヤ人が原因」。このように「日本国内で日本人向けに語られる」人種差別思想は、欧米向けには、「全ての悪行は、日本民族の民族性による」と、ユダヤ人と日本人の「入れ替え」が行われている。キリスト教原理主義教会の「劣った有色人種=日本人の核戦争による絶滅のため」である。

 

この時、使用されるのが、日本の天皇一族がシルクロードを経て日本に定住したカザール人=ユダヤ人であるとする、「日本ユダヤ人・同祖論」である。「日本人はユダヤ人であり、従って、日本人は、その民族性から悪行を本業としており、絶滅させる必要がある」。このようにして欧米で語られる日本人への人種差別思想 は、日本に輸入されてくる時には、毒を抜き、「優秀な、世界支配民族ユダヤ人と、同一の祖先を持つ、優秀な日本人」と言う形で、「日本礼賛」の美文に変形される。この日本賛美は、日本人の自尊心を「クスグル」。シルクロードへの歴史大河ロマン的な夢想と、天皇・日本人賛美と言う「余りに素朴な愛国心」を有頂天にさせ る、この宇野理論が、「人種的に劣った日本人を絶滅させよ」とするキリスト教原理主義教会の出自・正体を仮面の下に隠している事に、素朴な日本愛国者は無知である。「生き馬の目を抜く、国際政治の、手段を選ばぬ、敵ツブシ」と言う、極道世界を一切知らぬ素朴な日本愛国者は、宇野理論に簡単にダマサレテいる。中国大陸 への歴史大河ロマン的な八紘一宇の夢想・宣伝に乗せられ、中国に出兵した、かつての日本が、最後は広島・長崎への原爆投下によって、冷や水を浴びせられ、夢想と現実の違いを思い知らされた事から、何も学ばぬ、童心のまま高齢化した、素朴愛国者に未来は存在しない。

 

 宇野の所属するキリスト教原理主義教会は、レイセオン社等の核ミサイル産業から多額の資金援助を受けているが、キリスト教原理主義教会の創立資金の多くを出資した、新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハースト、その後継者=娘婿ウィリアム・ペリーは、クリントン大統領時代の重鎮=国防長官であった。中国が核武装 した際、その核技術の輸入代行業者であった銀行ディロン・リード社の社長がウィリアム・ペリー=黒船ペリーの末裔である。

 

自動車を購入する場合に例えるなら、GMの子会社GMAC社のようなクレジット会社が、顧客の自動車ローンを引き受ける金融会社となるが、核兵器・技術を購入する際の、ローン会社がディロン・リード銀行である。

 

2009年8月、クリントン元大統領が、突然、北朝鮮を訪問した。これは、謂わば、車を購入した顧客が、自動車の調子が悪いと苦情を言い、新車を購入したいと要請しても、自動車ローンの返済が不可能になったと相談しても、会社側から顧客に対して返答が無く、遂に、顧客が激怒し、暴れ出したので、子会社=ローン 会社ではなく、親会社の社長が、あわてて謝罪に出かけたと言うような、ドタバタ劇と言う事になる。

 

 

 

 本書で主張されている、東欧ユダヤ人=カザール帝国人という考えは、カザール帝国の遺跡発掘に当たったカザール考古学の権威・ダゲスタン大学歴史学部長のマゴメドフ教授等によって、デマゴギーであると全面否定されている。

 

かつてのモンゴル帝国のチンギス・ハンには、2歳年下の弟カザールが居た。タゲスタンを中心とした地域にはカザール犬と呼ばれる種類の犬も存在する。「強く、立派、獰猛、強健」を象徴的に示すカザールと言う言葉は、「我が、一族は、勇敢で、立派」と称する自尊心の強い人間達によって、我が一族はカザールと言う 形で用いられる、一般名詞に近い。ユダヤ教徒、カザール帝国の末裔と言う問題とは、全く関係がない。

 

カザール犬は、ユダヤ教徒でも、カザール帝国人の末裔でも、無い。ただの犬である。

 

カザール帝国の史実を資料に当たり読解するには、ペルシア、グルジア、アルメニア、ギリシア、ユダヤ、アラブ、ロシア、中国の言語、等々の8ヶ国語以上、とりわけ、その古語に十分通じ、その各自の文化に十分な知識・教養を持つだけの「学識」が必要になる。

 

 

日本における、ユダヤ陰謀論、イルミナティ・ルシフェリアン陰謀論を主張する、宇野正美、太田龍、ベンジャミン・フルフォードは、英語が堪能なだけであり、上記の8ヶ国語の1語さえ、その古語どころか現代語さえ読解する能力が無い。ユダヤ問題の祖形としてカザール問題を議論する資格は「最初から持っていない」。英語 を読む事も、書く事も出来ない人間の編纂した英和辞書を使用して、英語の勉強をする人間が居るとすれば、恐ろしく愚かと言わなければならない。ヘブライ、アラブ、ルーシ(ロシアの古称)の古語を読む事さえ出来ない人間達の、ユダヤ陰謀論、イルミナティ・ルシフェリアン陰謀論を信用する人間が居るとすれば、恐ろしく愚 かと言わなければならない。

 

本書でも、ユダヤ陰謀論者の宇野正美は、ヴォルガ・ドン陸路を、「運河」と訳している。ヴォルガ・ドンと言った河の名前から「勝手に連想・空想」し、運河と翻訳してしまっている。丹念に、語源と辞書を調査し、歴史書と地図に眼を走らせる努力を行わず、事実と史実を調査せず、「勝手な妄想と、空想でモノを主張す る」イルミナティ・ルシフェリアン陰謀論者の特徴が、この誤訳に明確に出ている。道路が運河になるのであるから、全てはイルミナティの陰謀になるのも無理は無い。

 

 

 

by AL