政治インテリジェンスサークル・ripec通信

インテリジェンスを軸に政治、経済、国際情勢について考えるサークルです。随時メンバー募集してますので、気軽にご連絡ください。記事を読んだら適当に広告クリックしていただけると、更新の励みになります(/・ω・)/軽くポチっとよろしくお願いいたしますm(__)m

日本核武装論は無知の産物

 

日本核武装論は無知の産物

 

書物短評 : レイモン・アロン 「大論争 核戦略の処理論」 防衛研修所

 

 終生、左翼運動に批判的であり、情緒的な反戦運動に厳しい批判を加えた、冷静・冷徹な政治学者アロンは、左翼であったサルトルと比較され、「正しいアロンより、間違ったサルトルと、いっしょに居たい」と揶揄され続けた。アロンの主張は、政敵・論敵からも、「正しい事は、正しい」と評価はされ続けた。正しい事 を冷徹に主張したため、嫌われたと言っても良い。

 

 

そのアロンの、核戦略論である本書は、防衛庁(現・防衛省)の核兵器戦略研究の内部資料として、70年に翻訳されている(原書は63年出版)。

 

 歴史的に英国と戦争を繰り返して来たフランス、第二次世界大戦ではドイツと激しく戦争を繰り広げたフランスの歴史は、隣国との戦争の歴史であった。この隣国からの攻撃・侵略に対するため、フランスは核武装の道を選択し、他国からの侵略・核攻撃に対して、自国からの核兵器による反撃体制を取り、核抑止力に依存 する体制を取った。アロンは、本書において、

 

「一国の核武装によって、他国からの侵略・核攻撃を抑止できると考える、独立した国家的抑止力と言う考えは、外交の実務の上では幻想に過ぎない。」

 

と、一国核武装論・核抑止力論が、稚拙な幻想である事を明言している。このアロンの分析の正しさは、第二次世界大戦の範から、フランスが隣国ドイツからの侵略を恐れ核武装をもって対峙した、そのドイツ等と、最終的には、共にEUを結成した事で実証された。

 

日本の核武装論者は、40年前に、日本の防衛省が翻訳研究していた核戦略論さえ読んでいない、恐るべき無知の産物でしかない。

 

 

 

*・・・書物タイトルの「処理論」は、「諸理論」の誤りであると考えられるが、旧防衛庁(現防衛省)の誤訳の表記のままとした。この程度の誤訳・誤記がノーチェックのまま表紙に印刷され、作戦指揮官達に平然と配布されてしまう点に、核兵器・核戦略理論についての、恐るべきチェック体制の不在、無責任極まりない 粗雑な取り扱い方が出ている。

 

 

by AL