政治インテリジェンスサークル・ripec通信

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ルシフェリアン陰謀論の歴史

 

ルシフェリアン陰謀論の歴史

 

書物短評  : ベンジャミン・フルフォード  「世界と日本の絶対支配者 ルシフェリアン」 講談社 

               : バーナード・マッギン     「アンチ・キリスト」 河出書房新社

 

 キリスト教の歴史は異端審問の歴史である。それはキリスト派と、アンチ・キリスト派の戦いであり、当然、全てのキリスト教の派閥が、「自分は正統派であり、キリスト派であり、敵の勢力が、アンチ・キリスト派である」として、中傷・派閥抗争を繰り返して来た。

 

 

碩学のキリスト教思想史家によって書かれたバーナード・マッギンの「アンチ・キリスト」には、こうしたキリストVSアンチ・キリストの、派閥抗争と思想闘争の歴史が詳細に描き出されている。当然、時の権力と結び付いた派閥が「その政治力で」、自分達が正当なキリスト派で、敵対勢力をアンチ・キリスト派として、 レッテル貼りを行い、抹殺にかかる。そこで、敵対勢力の政治的リーダーを、悪魔の化身として描き出し、相手に対し「悪魔主義者=イルミナティ、ルシフェリアン」のレッテルを貼る。相手も負けてはいず、その敵対勢力に対し「イルミナティ、ルシフェリアン」のレッテルを貼り、イルミナティの陰謀、ルシフェリアンの陰謀を 声高に主張する。

 

この「ルシフェリアン陰謀論、イルミナティ陰謀論」の、レッテル貼り合戦が、歴史上、幾度と無く繰り返されて来た。

 

時代によって、アレキサンダー大王がルシフェリアンとして描き出され、あるいは、ナポレオンがルシフェリアンとして描き出される様が、本書では詳細に語られている。この、聖書と現実政治の単純な「一体視」の歴史は、過去、何百回と繰り返されてきた。21世紀にも、歴代アメリカ大統領の悪行を見続けた末、大統領 =イルミナティ、ルシフェリアン等とする、聖書と現実政治の単純な「一体視」の歴史は、「百タビ、単純に繰り返されている」。余りに長く続いて来た、キリスト教世界内部でのキリスト派VSアンチ・キリスト派の、権力闘争の歴史を知る事によって、21世紀現在のイルミナティ陰謀論、ルシフェリアン陰謀論が、過去何百回 と無く繰り返されて来た、キリスト教世界内部での「お粗末な派閥闘争議論」の、21世紀における、「稚拙なリメイク・焼き直し」である事が判明する。

「何か目新しげに見える」日本のイルミナティ、ルシフェリアン陰謀論論議は、キリスト教思想史内部で繰り広げられてきた、このアンチ・キリスト問題の歴史についての「無知、または情報操作・扇動の意図」によって生み出し、宣伝されている。日本のルシフェリアン陰謀論には、神学者ヤコブ・ベーメの名前も、マイス ター・エックハルトも、ドゥンス・スコトゥスも登場せず、エイレナイオスによる異端論議も登場しない。ルシフェリアン論議の歴史について、全く無知である。その論議は、原油が燃えるのを目撃し、「水が燃えている、悪魔の憑依した、黒い水である」と大騒ぎする未開人と、同一次元に存在している。

 

 そして、そこに、神話学についての基礎的無知が加わると、聖書を物語=神話としてではなく、現実「ありのまま」を描いた歴史書として読む、キリスト教原理主義に行き着く。聖書の中では、しばしば悪魔は蛇、龍、爬虫類として描き出されるが、聖書が「現実ありのままを描いた」と妄想するキリスト教原理主義は、蛇 人間、龍人間=龍族、爬虫人類が、21世紀「実在する」と妄想する。この龍族等々が、他の悪魔主義者であるバチカン、CIA、MI6、マルタ騎士団、マフィア、青幇等々と入り乱れ、3流映画さながらの、奇奇怪怪な「大時代活劇」を展開する様が、ルシフェリアン陰謀論では現代史として妄想される。この、アニメ漫画的・ 幼稚思考の産物が、ルシフェリアン陰謀論である。

 

かつてアレキサンダー帝国の時代にも、アレキサンダーを龍人間として描き、その部下を蛇人間として描き、爬虫人類が大群となりアレキサンダーを囲み・擁護し、このルシフェリアンと、戦う聖なる神の使者が反アレキサンダー陣営であるとする、「聖書=現実政治」の思想宣伝が大々的に行われていた。このアレキサンダ ーを、21世紀現代のアメリカ大統領、あるいは欧米の金融事業者に「入れ替えただけ」の、盗作が、ルシフェリアン陰謀論である。

 

現在、スーパーマーケット等で使用されているバーコードに、666の数字が埋め込まれているとして、この数字の意味するものが悪魔である等々として、そこにルシフェリアンの世界支配の意図を読み取り、「大騒ぎ、お祭り騒ぎする」事も、キリスト教グノーシス派のマルキオン主義者が数百年前から繰り返して来た、数 字の語呂合わせの盗作でしかない。

 

なお、欧米、そして日本の、ルシフェリアン陰謀論者は、1988年、世界核戦争によって人類が絶滅しかかり、神が再臨すると主張して来たが、88年、世界核戦争は起こらず、神の再臨も無かった。現在は、西暦2009年である。

 

また日本のルシフェリアン陰謀論者は、先のアメリカ大統領選挙において、オバマが当選せず、途中から出場するアル・ゴアが大統領に当選すると主張してきた。予備選挙にさえ出馬していないゴアが、大統領選挙の本戦に「突如、姿を現す」等、アメリカの選挙システムを知らないとしか思われないが、結局、大統領にはゴ アではなく、バラク・オバマが就任した。

 

このように、イルミナティ、ルシフェリアンの陰謀を主張する人間達の「デマ」は、歴然としている。

 

キリスト教原理主義教会、キリスト教ミラー派=安息日再臨派の経典を熟読し、その千年王国思想を読解する事によって、ルシフェリアン陰謀論が、その盗作である事が判明する。

 

 by AL